硬さからマットレスを選ぼう!マットレス選びのポイント

人にとって睡眠時間は、1日の内のおよそ4分の1から3分の1という大きな割合を占めます。せっかくの睡眠時間を快適に過ごすのなら、自分にぴったり合った硬さのマットレスを選ぶのが得策です。自分に合ったマットレスを選ぶことで、よりよい姿勢で眠れるため、睡眠の質もより良くなるのです。それではどれくらいの硬さのマットレスを選べばよいのでしょうか。

この記事は約13分で読み終わります。

マットレスの種類には低反発、中反発、高反発と、大きく分けて3つの種類があります。これらの違いは弾力性の違いとも言われており、低反発だと弾力性が低く寝転ぶと体が沈み込んでいきます。

逆に高反発だと弾力性が強く、体は沈み込みにくくなります。中反発は、低反発と高反発との中間にあたる弾力性を持っています。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

目次へ

硬さを比較してマットレスを選ぼう

まずは主要メーカーから販売されているマットレスの硬さを比較してみましょう。

商品名 硬さ(反発力)
腰いい寝 超高反発
エアウィーヴ 高反発
ムアツ布団 高反発
テンピュール 低反発
マニ・スポーツ 高反発

こうして見ると高反発の硬めが主流のようです。ただし同じ高反発でもメーカーによって若干ニュアンスが異なります。

例えば「腰いい寝」は頭に「超」が付くほど反発力は高めです。これを凹凸状に加工して点で支えられるようになり、面で支えるよりも体の負担を和らげています。エアウィーヴは独自のエアファイバーによる復元性があり、それが高い反発力の源です。

一方、ムアツ布団とマニ・スポーツは「ニュートン(N)」という単位で反発力を数値化しています。

ニュートンは力の大きさを表す単位で、数値が大きいほど反発力が高い証です。耐荷重もニュートンで表されます。

測定は「JIS K 6400-2 A法」で行われ、40%の厚さまで押し込んでから30秒後の「復元しようとする力」がニュートンです。ムアツ布団は160~300N、マニ・スポーツは200Nあります。

ただしムアツ布団にはニュートンが異なるウレタンフォームを複数重ねて、それぞれに違う役割を持たせているマットレスがあります。

例えば一番上は体に触れる部分なので比較的反発力が低く、真ん中は体圧を分散するために最も高く、一番下は体を受け止めるべく上より少し高めです。

テンピュールのマットレスも上の層は低反発ですが、下の層は体をサポートするために反発力を高めています。

そのため実際に寝てみるとメーカーの表現やニュートンの数値に対して想像するよりも硬かったり柔らかく感じたりするでしょう。

では、主要マットレスで多く採用されている高反発のほうが低反発よりも優れているのでしょうか。

これはその人の体格や体重によって異なるため一概にはいえません。寝心地は低反発のほうが好みだという人もたくさんいます。可能であれば実際に店頭で試す選び方が一番です。

本来は立ったときと同じ姿勢のまま寝られるマットレスが理想。そうすれば身も心もリラックスした状態で深く眠れるでしょう。

ところが合わないマットレスを使うとこの姿勢が乱れてしまうため、筋肉が緊張して無駄に力が入った状態になります。それが毎日6~8時間続くので、その部分を痛めてしまうのです。

マットレスの硬さは寝返りの打ちやすさにも影響します。人間は同じ姿勢で眠り続けると、一方だけに体圧がかかり続け、血液やリンパの流れも滞りがちです。

その結果、寝ている間に作られた痛みの元となる物質がマットレス側のほうへ溜まってしまいます。

合わないマットレスを使うと寝返りを打つのに力が必要だったり、逆に寝姿が定まらず寝返りを打ち続けたりして深く眠れません。睡眠不足は体の痛みだけでなく、あらゆる不調を招いてしまいます。

特に腰はマットレスが柔らかいと沈み込み、逆に硬いと浮いてしまうので、間違ったマットレス選びの影響を最も受けやすいといえるでしょう。

目次へ

高反発マットレスの魅力とは


高反発マットレスは、反発力が高く、硬い性質があります。寝転んでも体が沈み込みにくく、体重が重い方や筋肉質の方に特におすすめです。

また、柔らかなマットレスの場合、腰部に負荷がかかって腰痛の原因となってしまいます。高反発マットレスだと腰が沈み込むことなく眠れるので、腰痛にもなりにくいと言われています。

消費者庁が定義する高反発(硬め)の基準は110N以上です。ただし先述のとおり高反発を売りにしているマットレスは200N前後あります。

これくらいの反発力があれば体重が100㎏以上ある人でも体が沈み込むことなく眠れるでしょう。

このように高反発の大きなメリットは体が沈み込み過ぎないところです。そのおかげで寝返りも打ちやすくなります。

スムーズに寝返りを打てれば眠りを妨げないので朝まで熟睡できるでしょう。さらに体重と合った反発力のマットレスを選ぶと、適度に体圧が分散され正しい姿勢で眠れるはずです。

これが腰痛の防止にもなります。通気性もある程度確保されており、夏でも比較的快適です。

一方で寝心地の硬さがデメリットにもなり、新たにマットレスを購入すると慣れるまで時間がかかります。

効果を実感できるまでには3ヶ月くらい様子を見たほうがいいでしょう。ただし体重に対して反発力が強すぎると体を痛めてしまうので我慢してはいけません。

また高反発ならではのサポート力を求めるならマットレスの厚さは最低でも5㎝、できれば10㎝以上あるのが望ましいでしょう。あまりにも薄いと高反発でも沈み込んだとき床に着いてしまいます。

高反発のマットレスはニュートンが体重の2倍になる選び方がおすすめです。80㎏なら160Nになります。

店頭で試すと寝心地の良さを優先して低いニュートンを選びがちなので気をつけましょう。

おすすめの高反発マットレスはこちら。

目次へ

 

中反発マットレスの魅力とは


中反発マットレスは、高反発マットレスの硬さと共に、低反発マットレスの柔らかさを兼ね備えた中間の弾力性を持つマットレスです。

高反発マットレスを使う場合、硬すぎて寝心地が悪いけれど、低反発だと柔らかすぎて疲れてしまう方にお勧めのマットレスです。主に、標準体形で50kg~80kg位の方に向いています。

中反発マットレス(普通)の反発力は先ほどの消費者庁の基準で75N以上110N未満です。ただし標準体型で50~80㎏なら140~170Nくらいがちょうどいいでしょう。

沈み込み過ぎず硬さもほどほどの寝心地です。先ほどのムアツ布団のように、体が触れる表面の層だけ中反発になっているマットレスもあります。

メリットは寝心地と寝返りの打ちやすさのバランスが取れているところです。体重も多くないしアスリートでもなければ、中反発の硬さで満足できるでしょう。

特にうつぶせで寝る場合は、高反発のように胸が圧迫されたり、低反発のように顔が埋もれたりする心配がないので安心して眠れます。

デメリットは高反発や低反発に比べると商品数が少ないところです。これくらいの反発力だと単独よりも違う反発力のマットレスと組み合わせているのが目立ちます。

どちらかといえば高反発のデメリットを中反発で補う感じです。選び方としてはニュートンを参考にするか、「中反発」を売りにしているマットレスを探すことになります。

おすすめの中反発マットレスはこちら。

目次へ

 

低反発マットレスの魅力とは


低反発マットレスは、弾力性が弱く、寝転んだ際に、体の形に合わせて沈み込んでいくのが特徴です。体にフィットして眠れるのでリラックス効果はあるのですが、寝返りを打ちにくくなります。

大きめの体格の方や筋肉量が多い方の場合、腰部が沈み込んで腰痛になってしまいがちです。主に、体重が軽めで、50kg以下の方に向いているマットレスです。

低反発マットレス(柔らかめ)の反発力は先ほどの消費者庁の基準で75N未満です。ただし、これではかなり柔らかい部類に入ります。50㎏未満の体重が軽い人でも極端な沈み込みを防ぎたいなら100N以上は必要でしょう。

そんな低反発マットレスのメリットは体圧分散に優れているところです。一般的な敷布団は重い部分に体圧がかかって起きたら痛くなりますが、低反発のマットレスは重さに合わせた沈み方をするので体がすっぽり包まれます。

この仕組みにより、体の重さで手足がしびれるのも防いでくれるでしょう。どんな体制でも快適に眠れて寝返りの回数が少なくなります。

一方でそのすっぽり包まれるところがデメリットにもなります。例えば肩や腰の痛みです。重たい部分だけが沈むと体が歪んだ状態になり、筋肉が睡眠中でも緊張します。

購入するときは必要以上に沈み込まないかチェックしましょう。寝返りを打つときに力が必要なのも朝に疲れが残る原因になります。低反発でもある程度の硬さは必要です。

他にも高反発より通気性が劣ります。ただでさえ体がすっぽりと包まれるため夏は寝苦しいかもしれません。

素材自体が温度の影響を受けやすく冬場は寝始めが硬く感じられ、体温によって徐々に柔らかくなります。

ただし柔らかいから耐久性も低いわけではなく、ウレタンフォームの密度が高ければ低反発でも長持ちします。

ニュートンと密度はあまり関係ありません。例えば低反発のテンピュールは10年保証です。へたれやすいから低反発を避けるという選び方は間違いといえるでしょう。

もちろん、あまりに体重が多ければウレタンフォームの結合が弱くなり、へたれるのは早くなります。低反発に限らず高反発でも起こり得ることです。

おすすめの低反発マットレスはこちら。

目次へ

敷布団も硬さにこだわるのが大事

マットレスと同様に、敷布団も硬さにこだわってみましょう。敷布団を買い換える際には、自分にとってのベストな硬さを見極めるのが大切です。

今使っている敷布団で次のような不具合が起きているのであれば、敷布団の買い替え時期なのかもしれません。

起きた時に、腰痛がする

もともと腰痛もちの方の中でも、特に朝起きた時に腰の痛みが強い方や、最近急に寝起きの腰痛が出てきたという方は敷布団を見直したほうがいいでしょう。

仰向けで寝ていたはずなのに、気がつくと横向きになって寝ている場合には、腰の痛みから無意識に態勢を変えている可能性があります。これは仰向けの際に体の重みによって背中側の血行が悪くなっていることが原因と考えられます。

適度に寝返りが打てるのであれば、この血行不良からくる腰痛は軽減されるはずですが、敷布団の硬さが体にあっていないと、寝返りがうちにくくなり、自ずと寝返りの回数も減ってしまいます。

寝返りの際に痛みがあって起きてしまう方も要注意です。敷布団が硬すぎないか、逆にやわらかすぎないかチェックしてみましょう。腰痛の場合、敷布団はやわらかすぎるよりもちょっと硬めのもののほうが理想的です。

朝起きた時に、肩が痛い

朝起きた時に肩が痛い方は、寝ているときに横向きになっていることで肩への負担が大きくなっている可能性があります。

特に柔らかい敷布団で寝ていると、肩への負荷が大きくなりすぎていることが痛みの原因かもしれません。

寝ても疲労が取れにくい

朝起きたときのすっきり感がない、寝ても寝ても疲れが取れない。「毎日働きすぎかな?」「熟睡できていないのかもしれない」とさまざまな原因が思い当たるとは思いますが、敷布団もその原因のひとつとなっている可能性があります。

寝付きが悪くなった、眠りが浅い、目覚めが悪いといったとき、敷布団の寝心地が悪く体がうまく休めていない可能性があります。思い当たる節がある方は、敷布団の硬さをチェックしてみましょう。

目次へ

素材別、敷布団の硬さの特徴

次に、敷布団を選ぶ際に覚えておきたい素材別の硬さについて紹介します。敷布団はその素材によって硬さが大きく変わってきますので、それぞれの素材の特徴をよく知り、敷布団選びに役立てましょう。

高反発敷布団

柔らかいものが多い敷布団ですが、硬めのものを利用したい場合には高反発敷布団を選びましょう。高反発敷布団はウレタン素材でできており、反発力が一般的な敷布団よりも高くなっています。

横に寝ても体が沈みにくく、寝返りが楽になりますよ。寝姿勢が良くなるため、肩こり、腰痛、背中の痛みなど、朝起きた際に感じていた不快感を和らげることができるかもしれません。

ただし、ウレタン素材は通気性に欠けるというデメリットも存在しています。寝ている際の汗を放出できないため、布団の上げ下ろしを毎日行わないことで布団の裏にカビが発生してしまうかもしれません。

布団の下にはすのこなどを敷いて通気性を良くする、布団乾燥機を使うなどしてカビを予防しましょう。

低反発敷布団

こちらも同じくウレタン素材でできていますが、反発力が弱く体が沈みやすい敷布団となっています。高反発は発泡ウレタン、低反発は未発泡ウレタンを使用しているという違いがあります。

低反発敷布団は使用し始めたときには寝心地よく感じるのですが、長く使うと腰に負担がかかりすぎてしまう可能性があります。寝返りの辛さから、寝ている間に疲れを感じてしまう方もいるでしょう。

また、こちらもウレタン素材のため寝汗をかきやすい方や、布団の上げ下ろしをあまりしない方にはおすすめできません。

木綿敷布団

木綿素材でできた敷布団は、吸収性に優れ汗をしっかりと吸い取ってくれます。湿度の高い日本で昔から使われてきた素材ですが、木綿が多く使われている敷布団は重量もあり布団の上げ下ろしや布団干しが少し大変です。

反発力もそれなりにあります。腰痛や背中の痛みに悩んでいない人であれば、年中快適に使うことができるでしょう。

羊毛敷布団

こちらも木綿と同じく天然素材の敷布団です。羊毛敷布団は通気性・吸収性がよく、寝汗を吸い込みながらも素材の表面から水分を放出していってくれます。

カビの心配もほとんどなく、お手入れを怠らなければ長く使うことができるでしょう。また、羊毛敷布団は反発力が比較的高く、寝ている間の腰や背中への負担を軽減してくれるのもメリットです。

このように、敷布団は素材によって大きく特徴が異なります。あなたが今使っている敷布団はどのタイプでしたか?腰や背中に痛みがあり、使っている敷布団も低反発のものだった場合には、体のためにも敷布団の買い替えを検討してみましょう。

「でもどの敷布団がいいのかわからない」「どこのお店で買うのが安心なのかわからない」という方には、体に優しい寝具を取り揃えている櫻道ふとん店がおすすめです。

あなたの体にぴったりな敷布団で、毎日ぐっすりと眠り、体の疲労や痛みを改善して生きましょう。

目次へ

まとめ

マットレスや敷布団を選ぶ際は、ついつい値段やメーカー、お手入れのしやすさなどで決めてしまいがちですよね。しかし、一番大切なのは、心地よい眠りにつけるマットレスや敷布団を選ぶことです。

自分に合ったマットレスや敷布団を選ぶことで睡眠の質が格段に変わって、疲れを残すことなく翌朝すっきり起きることができます。体重が重めで腰痛になりがちな方は高反発マットレスや敷布団を選ぶと寝返りも打ちやすく快適に眠れます。

体重は標準だけど高反発マットレスや敷布団では硬すぎ、低反発マットレスや敷布団では柔らかすぎる方は、両者の長所を備えた中反発マットレスがおすすめです。

体重が軽めの方は体を包み込む低反発マットレスや敷布団を選んでみてはいかがでしょうか。マットレスや敷布団の硬さで、毎日の睡眠が劇的に変わりますよ。

その目安となるのが「ニュートン(N)」という単位です。ただし一般的な定義では「硬め」にカテゴライズされるマットレスさえ柔らかくなってしまうので、体重の2倍を目安に探すとちょうどいいでしょう。

実際に店頭で試してみるのが一番ですが、その選び方では最適なニュートンよりも反発力が低いマットレスや敷布団を選びがちです。

多くの人は寝心地を優先する傾向があります。あまりにも柔らかいと体が沈み込んで筋肉に負担をかけますから、少し硬さのあるマットレスや敷布団を選びましょう。特に女性や高齢者は、そのほうが楽に眠れるはずです。

表にまとめると以下のとおりとなります。

硬さ ニュートンの目安 最適な体重 合っている人
高反発 200N前後 80㎏以上 ・筋肉質
・腰痛持ち
・夏も快適に眠りたい
中反発 140~170N 50~80㎏ ・仰向けで眠る習慣がある
・寝心地と寝返りの打ちやすさを両立したい
低反発 100N前後 50㎏以下 ・寝心地を優先したい
・寝相が悪くて手や脚がしびれやすい

どんなに体に合っているはずのマットレスや敷布団でも慣れるまでには時間がかかります。それは普段の寝姿を体が覚えているからです。

買って合わないからとすぐ諦めずに数日間継続してみましょう。それでも合わなかったときのために一定期間の「返品・交換保証」があると安心です。

テンピュールは60日間(一部商品・地域を除く)、ムアツ布団は7日間あります。他にも「腰いい寝」はお試し、エアウィーヴはレンタルが可能です。