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敷布団に使われる木綿の特徴
敷布団には、木綿や羊毛などさまざまな素材が利用されています。中でも昔から使用されてきた木綿にはどのような特徴があるのでしょうか。
木綿の特徴と素材としてのメリットを確認してみましょう。
歴史のある素材
敷布団に使われる木綿は、ポリエチレンやウレタンとは違い、古くから使われてきた素材。
昭和においては敷布団のメイン素材として広く使われてきました。
ただ古来より木綿が敷布団として広く使用されていたわけではありません。木綿の本格的な栽培が行なわれるようになったのは江戸時代のこと。
貴重な財産として婚礼布団ともいわれたほどです。江戸時代以前は、高い身分の人が使えるものとして利用されていました。
そんな木綿の特徴は、打ち直しをすることによって長く使えるようになることです。
繊維をほぐすことによって本来の木綿布団へ甦らせることができます。
また既製品と職人による手づくりのもので大きく違うのが木綿布団の特徴。
既製品だとヘタレやすく沈み込みが激しいため腰に負担がかかるものもあります。職人の作る木綿敷布団は腰の分に膨らみをつくることで、腰への負担を軽減するなどの工夫が取り入れられています。
吸湿性が高く放湿性が弱い
素材的な特徴としてあげられるのが木綿の吸湿性です。
またしっかり湿気を取り除いてくれるだけでなく、湿気を逃がさない性質があります。
そんな吸湿性がよく放湿性の弱い木綿は湿気の多い日本には適した素材。特に湿気の多い夏場でもべた付くことなく、サラサラな状態で眠りにつくことができます。
また木綿は、合成繊維ではなく天然の綿からとれる素材。天然ならではの肌へのやさしさがあります。
適度な弾力がある
硬すぎず柔らかすぎない、木綿にはちょうどよい弾力があります。
敷布団は硬すぎると寝返りが打ちづらく、圧が一定方向にかかることで体を痛めてしまいますし、やわすぎると体が沈み込んでしまい負担になってしまいます。
沈み込みすぎず硬すぎないほどよい弾力が、木綿が選ばれてきた理由です。既製品のへたれやすい布団ではなく、職人の手によって作られた布団であれば、腰痛のある方にも木綿の敷布団はおすすめできます。
重みがある
木綿でできた敷布団には重みがあり、デメリットとしてとらえられることもあります。しかし重みがあるということは、その分しっかりとした厚みがあるということ。
地面の硬さがそのまま体に伝わってくるようなことはありません。厚みがあり、重みがあることで人の体重をしっかりと支えることもできます。
木綿の敷布団を使用する場合、どんな注意点がある?
吸水性の高さや適度な弾力などメリットもある木綿ですが、使用するなら注意しなければならない点もあります。特に注意しなければならないのが放湿性の弱さを補うためのメンテナンス。
木綿を敷布団として使用する際の注意点3つを紹介します。
天日干しによるメンテナンスが必要
敷布団に木綿の素材を利用することのメリットとして、吸湿性の優れ、放湿性が少ないことを紹介しました。しかし、放湿性の悪さはデメリットにもなってしまいます。
湿度が自然に外に出ていかないので、メンテナンスの手間が増えてしまうのです。
そのため、日干しすることによって敷布団を乾燥させ、湿度を外に逃がす必要があります。
それもこまめに行うことが必要で、湿度の高い梅雨から夏場にかけては注意して天日干しをしないとカビの原因になってしまいます。
また、しっかり湿度が抜け切れていない状態なので、いくら木綿は吸水性が高いといっても限度があり、べた付いてしまいます。
さらに一方の面を日干しするだけでは不十分です。
木綿の敷布団をしっかり乾燥させるには、両面を日光にさらさなければなりません。
敷布団をひっくり返して様子を見る必要があるので、面倒に感じる人は少なくないでしょう。
まだ日光の当たる場所に家がある場合は良いですが、マンションやアパートなど日当たりが悪い部屋であれば十分に乾燥させることができないため、しっかりメンテナンスを行なうことができません。
自宅が木綿に適した部屋か確認すること、日当たりなどの関係で日干しができない場合は、クリーニングに定期的に出すなどの対策が必要です。
重いので高齢者には負担になる
木綿の敷布団は、シングルサイズでも5~7kgの重量があります。
ただ畳むだけならよいですが、メンテナンスのために日干しする必要があるので、持ち上げて、物干し竿にかけてという作業はけっこうつらいです。
若い人ならまだしも、高齢者にはそれなりに負担がかかります。
高齢で体力などに不安がある場合は、自宅の環境を整えること、または誰かに手伝ってもらえる環境をつくることが必要でしょう。
できるだけ負担がかからないように、上にあげたりするような動作がなくせるようにしておきましょう。
寿命は思ったよりも長くない
木綿は打ち直しをすることによって寿命を延ばすことができますが、打ち直しをしない場合、敷布団なら寿命は3年といわれています。
思ったよりも寿命は長くないので、高い木綿の敷布団を購入するのではなく、比較的安い木綿の敷布団を選択する方法もありです。
また、寿命を延ばす打ち直しも完全に中の綿を交換する訳ではありません。
新しい綿にすべて取り換えるわけではないので、長く使わないうちにへたってしまう可能性もあります。打ち直しても2回が限度。
打ち直しをすればさらに長く使えるといっても10年以上は素材の劣化もあるため厳しいです。
今後10年以上の長期利用はできないものと考えて選ぶようにしましょう。
まとめ
吸水性が高いことが木綿の大きなメリットですが、吸水性が高いものの自然に水分が放出されないので日々メンテナンスが必要というデメリットもあります。
もちろん寝心地の良さから木綿を選ぶのは良い選択肢ではありますが、メンテナンスを怠るとダメになることも頭に入れておきましょう。
敷布団は素材選びから。
自分に合った素材を見つけて、快適な睡眠をおくりましょう。